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2019年12月20日 (金)

追悼 マリー・フレデリクソン

 私がロクセットのことを知ったのは、
世界中の多くの人たちときっと同じで
89年に「THE LOOK」を耳にしたときでした。

すでにラジオ日本での全米トップ40は
オンエアされていなかったので、
アメリカの最新ヒット情報を別の形で得ていて、
その年2月にスウェーデンのまったく知らないグループが
いきなり50位に初登場したのに驚きました
ーどんなバンドのどんな曲だろう? 

その後、彼らを国内発売するレコード会社の担当ディレクターが
親しい友人だったこともあり、
『LOOK SHARP!』以降、
いくつものアルバムの解説を書く機会を得て、
マリーとペールは自分にとって
すごく近い存在になった気がしました。

同世代のペール・ゲッスルは
ビートルズからの影響を理想的に受け継いだ
とても才能豊かな男性で天才肌でもあり、
一方以前から
ソロ歌手として卓抜した実力を誇ったマリー・フレデリクソンは、
ロクセットなるユニットに参加したからこそ活かせる
最高の歌声を存分に聞かせてくれました。

瞬く間に世界的スターの座へと駆け登って行った彼らを、
スリリングな気持ちで眺め、いつも応援していました。

2度ほどふたりに直接話を聞くこともできて、
音楽への好奇心に溢れ
いつも肯定的に創造に向かって多くを語るペールと、
どちらかというと控えめで
優しさと強さを内面に感じさせたマリーの、
互いを信頼し理解し尽くしている様子を
素敵な間柄だなあと思ったのを覚えています。

02年9月にマリーが脳腫瘍で倒れた後、
懸命にリハビリに取り組んでシーンに復帰するまで、
ペールは個人名義や
かつてのバンド=ユーレネ・ティーゲルの再編などの企画で
音楽を続け、彼女を待ちます。

そうして04年秋にソロ作品『ザ・チェンジ』で、
マリーはあまりに劇的に復活を遂げてくれました。
その豊かな資質が全編に注がれた胸を打つアルバムでした。

かつてほど日本で彼らの活動が報じら れなくなったものの、
11年の『CHARM SCHOOL』でバンドとして本格的に再始動し、
15年までツアーも大成功を収めていました。

最新アルバム『GOOD KARMA』が届けられた16年には、
しかしマリーは再び深刻な病状に陥っていたようで、
2019年12月9日、61歳の若さで帰らぬ人となりました。


 私にとってロクセットの存在は90年代以降、
世界のポップ・シーンが多彩に細分化する中で、
ここ日本においては洋楽の王道を指し示した、
とてもありがたいものでした。

一連の世界的大ヒットの後も
「HOW DO YOU DO!」や
「スリーピング・イン・マイ・カー」が伝えてくれたのは
ラジオから流れる洋楽ポップ・ヒットが心に生み出す、
理屈抜きの”ときめき”そのものだったのです。

マリー・フレデリクソンは、私がラジオの仕事を続け、
またポップス・ファンであり続ける限り
永遠に忘れることのできない女性のひとりです。


               2019年12月20日 記 矢口清治

 

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