「1422うまうま警察」
3月21日、
中山9R浅草特別で
モンテアルベルトが
勝ったことを見届けた
老警部。
翌週も中山へ赴いた。
3月28日日曜日、
春の中山は滅法走る
テイクバイストームが
出走するからだ。
午後1時30分スタートの7R、牝馬限定戦。
朝の10時半頃だったと思うが、
オッズはどんなものかと
眺めていると、
ある現象に目が止まった。
馬連の1番人気は
テイクバイストームと
エレガントマナーの
単勝上位2頭の組み合わせ。
ごくごく妥当だ。
しかし、馬連2番人気は
テイクバイストームと単勝8番人気のウインクの組み合わせで
10.8倍となっている。
レースまで時間があるとはいえ、
人気薄のウインクに買いが入っている形跡がある。
ウインクは前走、
テイクバイストームと同じレースに出走し、3着。
2着のテイクバイストームと差のない競馬をした。
ウインクも中山は走る。
「1着はないが、
連には絡む可能性大ということか。それにしても‥。」
老警部は昼休みに競馬場地下でワンタンメンをオーダー。
その後も7レースの
オッズを注視することにした。
午後に入り、
+12キロと発表された
テイクバイストームの
単勝は3倍→2倍台前半へ。
ウインクも支持を伸ばしたが、最終的に単勝10倍を切ることなく5番人気に。
それでもテイクバイストームとの馬連は2番人気をキープ。
馬連の相手としての評価は高いまま締め切り時刻を迎えた。
最後の直線、
テイクバイストームが抜けると、
中団馬群を進んでいた
ウインクが内からスルスルと伸び、
テイクバイストームとウインクで決着。
馬連は1130円だった。
春の中山で再度快走したテイクバイストームの
勝利を見届けた老警部。
「再走事件」とともに
単勝人気以上に連が売れる現象を新たに「オッズ事件」と命名。
今後同時進行で捜査を行うこととしたのだった。
(つづく)
※登場人物だけフィクションです。
作・木村季康
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